高騰するニッケル価格

ニッケルの価格が高騰していることをMONOistが2022年6月に報じました。同記事によれば、ニッケルなどの主要非鉄金属市場は、2018年～2019年段階では価格が比較的軟調だったそうです。

しかし、2020年に流行した新型コロナウイルスの影響で、価格が大きく下落することになります。しかし、同年秋頃になると、世界的な金融緩和による資金の市場流入や中国経済の急速な回復が要因となり、新型コロナウイルス流行前を上回る価格水準となりました。

また、2021年は各国の経済回復やカーボンニュートラルの取り組みが加速したことで、需要が拡大、2022年にはロシアのウクライナ侵攻によって供給懸念が高まりました。その結果、ニッケルの価格は高騰し、2022年には過去最高値を更新しています。

今後のニッケル価格はどうなる？

では、今後のニッケル価格はどうなるのでしょうか？上記の流れをみれば、ニッケルの価格は高騰していく可能性が高いでしょう。

しかし、ニッケル国際価格は下げ止まり感が台頭していることを、2023年4月に鉄鋼新聞が報じています。同期時によれば、ニッケルをはじめとする非鉄売金属は中国のゼロコロナ政策転換による需要回復の先行期待などが要因となり、2023年1月頃までは上昇傾向だったそうです。

しかし、中国経済の警戒感やアメリカの利上げ長期化、アメリカ地銀の破綻による欧米の金融不安などから、市場が落ち着きはじめ、現在は下落傾向にあります。現在、需給バランスは緩和傾向にあるため、価格の急落までは至らず、横ばいの状態です。

ただ、ウクライナ侵攻は2023年5月時点でも続いており、供給懸念は払拭されていません。また、カーボンニュートラルの取り組みは加速していくため、今後もニッケルの需要は拡大することが予想されます。

中国の実需需要が回復すれば、価格が上昇する可能性もあることから、今後の流れを注視していく必要があるでしょう。

ニッケルスクラップについて

ニッケルスクラップとは、ニッケルが原料となっているスクラップのことです。

回収・リサイクルを行い、原料としてニッケルの製品が製造できれば、すべてニッケルスクラップとみなされます。

ニッケルスクラップの種類

ニッケルスクラップの代表的な種類としては以下が挙げられます。

• 純ニッケル線
• 針金状のニッケル
• 純ニッケルの円盤
• ニッケル玉
• 電解ニッケル

上記はあくまでも一例です。様々な種類のニッケルスクラップがあります。

スクラップ買取業者によって買取対象物は異なるため、ニッケルスクラップの買取を検討している場合は1度、問い合わせてみるとよいでしょう。

ニッケルスクラップを買取ってもらう3つのメリット

ニッケルスクラップを買い取ってもらうためのポイントとして次の3つが挙げられます。

• 処理コストを削減できる
• 収益にプラスできる
• 環境問題・リサイクルに寄与できる

それぞれ詳しくみていきましょう。

処理コストを削減できる

ニッケルスクラップを産業廃棄物として処分する場合、処理コストがかかります。スクラップが大量であればその分だけで処理コストも高額となりますが、ニッケルスクラップを買取してもらえれば、処分する量を抑えられます。

処分量を低減できれば、処理コストの削減も可能です。

収益にプラスできる

スクラップの売却で得た売却益は、収益としてプラスできます。処理コストを削減し、収益にプラスできるのであれば、ニッケルスクラップを買取しないという選択肢はないでしょう。

ただし、スクラップの売却益は経理上、雑収入として取り扱われます。正しく申告していないと税務署の検査が入ってしまうため、しっかりと雑収入として計上し、領収書を受領・保管しておくことが大切です。

環境問題・リサイクルに寄与できる

環境問題・リサイクルに寄与できるのも、ニッケルスクラップを買い取ってもらうメリットです。

鉱物には多くの不純物が含まれているため、鉱物からニッケルを精製する際は、莫大なエネルギーを消費します。一方、ニッケルスクラップはすでに不純物が除去されているため、鉱物から精製するよりもエネルギーを抑えられます。

そのため、二酸化炭素の排出量抑制につながり、地球温暖化対策に寄与できるでしょう。

ニッケルスクラップをリサイクルすれば、鉱山の採掘量を減らせる他、産業廃棄物の量を減らせるため、焼却・埋め立ての必要がなくなります。その結果、環境への負荷を軽減させることも可能です。

また、ニッケルをはじめとする金属は、地球上に限りがある天然資源です。スクラップ買取すれば、リサイクルにつながるため、資源を大切に利用できます。

ニッケルを高額で買い取ってもらうための4つのポイント

ニッケルを高額で買取してもらうためのポイントとして次の4つが挙げられます。

• ニッケル相場を確認する
• 雑品スクラップと見なされないようにする
• できるだけまとめてから買取する
• 定期的に買取依頼をする

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.ニッケル相場を確認する

株式は株式相場、通貨は為替相場によって価格が変動します。金属は金属相場によって変動しますが、金属スクラップの買取価格も同様です。

金属の購入・買取価格は金属相場の影響を受けて日々変動しています。これはニッケルの買取価格も同様です。

したがって、ニッケルスクラップをできるだけ高額で買い取ってもらうためには、ニッケル相場の状況を確認したうえで、買取タイミングを見極めることが大切です。

2.雑品スクラップと見なされないようにする

ニッケルスクラップに別金属のスクラップやプラスチック、被膜などが混在している場合、雑品スクラップと見なされてしまいます。雑品スクラップの場合、業者が分別しなければならない分、手間がかかるため、買取価値は下がってしまいます。

買取価値を維持・向上させるためには、不純物を除去したり、金属の種類ごとにスクラップを分別したりするなどして、雑品スクラップと見なされないようにしなければなりません。

3.できるだけまとめてから買取する

金属の買取対象となるのは基本的に1kg以上です。業者によっては少量でも買取してくれますが、安く買い叩かれる可能性もゼロではありません。

スクラップを高額で買取してもらう場合は、できるだけ量をまとめてから買取することをおすすめします。

4.定期的に買取依頼をする

工場などのように大量のニッケルスクラップが毎月安定して発生する場合、定期的に買取依頼することも高額で買い取ってもらうポイントの1つです。スクラップ買取業者もスクラップの納入先に月々どれくらい納入するか契約している場合が多いです。

定期的に決まった量を買取依頼すれば、業者も安定してスクラップを確保できるため、その分買取価格を上げてくれる可能性があります。

そもそもニッケルとは？

ニッケルとは、元素記号「Ni」、原子番号「28」で、周期表ではパラジウムやプラチナと同じ10族に分類されている金属です。希少鉱物であるレアメタルの1つにも分類されています。

色は銀白で、融点は1,453度、沸点は2,730度と高く、展延性や耐食性に優れている金属として有名です。

ニッケルの代表的な用途

ニッケルの代表的な用途としては以下が挙げられます。

• 50円玉硬貨
• ニッケル水素電池・リチウムイオン電池といったエレクトロニクス分野
• 医療機器
• 携帯電話
• 調理器具
• 発電機
• 建築物

上記はあくまでも一例です。航空機・ロケットエンジン部品など、幅広い分野でニッケルは使用されています。

ニッケルの歴史

ニッケルの歴史は古く2000年以上前の文化遺跡から見つかっていますが、元素として同定され分離されたのは1751年です。19世紀に入ると、ニッケルsilverやニッケルメッキなど、ニッケル合金が多く使用されるようになりました。

20世紀初頭にステンレス鋼が発見されたことをきっかけに、ニッケルは普及品の材料として有益な役割を果たすことが明らかになりました。その結果、多くの分野で使用されるようになり、この状況は現在も続いている他、技術開発が進んだことで、その需要は増加の一途を辿っています。

ニッケルの3つの特長

ニッケルの特長として次の3つが挙げられます。

• 電気伝導率が高い
• 耐食性が高い
• 合金化しやすい

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.電気伝導率が高い

ニッケルは電気伝導率が高い金属です。製品の表面にニッケルメッキなどの処理を施せば、電気伝導率を活かした導電材として使用されることも多いです。

また、電気伝導率が高いほど電気抵抗が少なくなるため、電気を使用したメッキを行いやすいことから、ニッケルはメッキに適しています。ニッケルメッキという分野が確立しているのは、こういった背景があるからです。

2.耐食性が高い

ニッケルは鉄やコバルトと同じく鉄族元素に含まれる金属です。しかし、ニッケルはこれら金属と違って、不動態化被膜とよばれる膜が存在します。

そのため、耐食性が高く、鉄などのように錆が発生して、ボロボロに腐食しません。錆びている10円玉はよく見かけるのに、錆びている50円玉はあまり見たことがないと思います。

これは50円玉にニッケルが含有されており、不動化被膜によって耐食性が高いからです。

3.合金化しやすい

ニッケルはその特性上、合金化しやすい金属です。低コストで加工できることから、コストパフォーマンスにも優れています。

そのため、ニッケルクロム合金やニッケル銅合金など、様々な金属と組み合わせて、新しい合金が作られている金属でもあります。

ニッケル合金の概要・代表的な種類

「ニッケル合金」とは、ニッケルを主原料として1種類以上の別金属を融合させた合金で、耐食性や耐熱性に優れているのが特徴です。ニッケル合金には様々な種類がありますが、代表的なものとしては次の3つが挙げられます。

• ニッケルクロム合金
• ニッケル銅合金
• ニッケル鉄合金

それぞれ詳しくみていきましょう。

ニッケルクロム合金

「ニッケルクロム合金」は、ニッケルを主原料にクロムを融合させた合金です。ハステロイやインコネルといった様々な種類があり、耐熱合金や電気抵抗合金、耐蝕合金として使用されています。

これら合金が使用されている主な用途は次のとおりです。

• 耐熱合金：原子炉・航空機・ロケットエンジンの部品など
• 電気抵抗合金：電気抵抗体など
• 耐蝕合金：排煙脱硫など

ニッケル銅合金

「ニッケル鋼合金」は、ニッケルを主原料に鋼を融合させた合金です。9:1キュープロや、7:3キュープロなどがある他、モネルK-500やモネル400といった種類があります。

これらの合金の特徴と使用用途は次のとおりです。

ニッケル鉄合金

「ニッケル鉄合金」は、ニッケルと鉄を融合させた合金です。ニッケル鉄合金は、ニッケルの含有率によって様々な種類に分けられます。

代表的なものは次のとおりです。

• インバー：36％のニッケルに鉄を加えたもの
• 42アロイ：ニッケルを42％含有しているもの
• パーマロイ：ニッケルの含有率が35～80％もの

まとめ

ニッケルの価格チャートを交えながら、価格推移や今後の価格動向、買取のメリット、高額で買い取ってもらうためのポイントについて解説しました。ニッケル価格は新型コロナウイルスの感染や需要の拡大、ロシアのウクライナ侵攻により、間近2～3年で大きく高騰しています。

しかし、2023年に入ると、需給バランスの緩和傾向によって、ニッケル価格は下げ止まり感が漂っている状態です。しかし、現状世界は不安定な情勢である他、カーボンニュートラルの取り組みが加速していく可能性があります。

そのため、ニッケルの需要はさらに拡大していくことが予想されます。ニッケルスクラップの買取価格はニッケル相場と連動しているため、高額で買い取ってもらうためには、しっかりと相場を見極めることが大切です。

当店は、鉄や非鉄スクラップの回収と高価買取を行っています。スクラップ買取でお困りの方は、ぜひ一度当店にご相談ください。